共同開発

次世代の SST(超音速旅客機)の日仏共同開発が決まったそうです。
日本は戦争に負けてアメリカに航空機開発を禁止されたのが影響して、例えば大型旅客機の
分野では完全に出遅れて、ボーイングの下請け作業などをして技術の蓄積をしている段階ですが、
独自開発による参入は難しい状況です(小型旅客機なら独自参入もあり得る)。

しかし日本は加工、生産技術などの分野では世界のトップクラスなのですが、大型旅客機を
単独で作り上げたことがないので(YS11ぐらい)、コンコルドエアバスなどの経験と実績がある
フランスと共同開発できるのは非常に日本にとってメリットがあることだと思います。
今度は下請けではなく、共同開発ですから完成すれば日本製の SST が世界を飛ぶことになり、
日本の航空業界の悲願が達成されることになります。資金的なリスクや技術的な理由からこれからは、
エアバス社とボーイング社と日本の重工業(三菱、IHI、川崎など)は協力関係を含めていくのでしょう。リスクも大きいし、アメリカなどの妨害も予想されますが、是非こういった夢のある話を
進めてもらいたいものです。


日本とフランスの航空宇宙工業会は14日、次世代の超音速旅客機(SST)の共同研究で合意し、フランスで開催中のパリ航空ショー会場で調印した。英仏の共同開発だったコンコルドは03年10月で運航を終えており、現在飛行中のSSTはない。今回の日仏共同開発が成功すれば夢の“次世代コンコルド”誕生となる。ただ、コンコルドの欠点だった騒音や燃費の悪さなどをどう解消し、安全性を確保するかなど課題も多く、商用化にこぎ着けられるかは未知数だ。
 日仏両工業会はSSTの実現に不可欠な技術開発の基礎調査を3年間行い、その後、具体的な機体開発などにつなげる考えだ。
 両工業会の合意によると、研究テーマは超音速という厳しい飛行環境に耐えられる機材の仕様や耐熱効果の高い炭素系複合素材の開発で、エンジン騒音を減らす新技術の開発にも挑戦する。両国の航空宇宙関連機関や航空機メーカーなどが共同研究・開発に参加、事業規模は日仏それぞれで年間1億円を見込んでいる。何人乗りで速度はどの程度まで高めるかといったSSTの具体的な設計は、今後検討していく。
 日本の経済産業省によると、今回の共同開発は03年に仏航空宇宙工業会側から持ちかけられた。両工業会の話し合いに加え、経産省と仏運輸省が実務者レベルで協議を続けてきた。
 仏側が特に注目しているのは、石川島播磨重工業川崎重工業三菱重工業の日本メーカー3社と独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構NEDO)が開発、03年に完成したSST用エンジン。マッハ5・5(音速=秒速約340メートル=の5・5倍)の推力を実現したことを高く評価しているという。
 日本の航空機産業はこれまで、次世代機787など米ボーイング社の旅客機開発・生産に参画することで技術水準を向上させてきたが、エアバス社の次世代機A380の開発にも参加するなど欧州勢とも関係構築を進めてきた。
 超音速機では、100人乗りでマッハ2で飛んだコンコルドが1969年に初飛行して18機生産された。しかし、運航したのはフランス航空と英国航空だけで、高い燃料費で運航コストがかさみ、激しい騒音もあって他の航空会社は採用しなかった。00年にはパリ近郊で墜落事故を起こし、老朽化から27年続いた大西洋の運航を終了した。【小島昇】
 【ことば】次世代超音速旅客機(SST) 爆音が激しいうえに燃費が悪く、商用としては失敗だったコンコルドの反省をいかして、最新技術で低騒音、低燃費、安全性の確保を目指す後継機。200~300人乗りで、音速の2~2.4倍(時速約2380~約2860キロメートル)の速さで飛行することを想定している。実用化されれば、東京―ニューヨーク間が最短6時間程度で結ばれることになる。