非凸最適化問題には当然様々な問題が含まれるが、なかなか統一的な優れた解法が見付からないのも事実である。多項式最適化問題(POP)に対する半正定値計画問題(SDP)を用いた緩和法というのは理論的にも万能という訳ではないが、かなり多くの種類の最適化問題を同じような方法で扱えるようになっている。この緩和法も指摘されてみれば長いこと SDP を扱っている人ならば、自然な方法だと思うだろう。発想は難しくないが、全貌を理解するのは大変困難である。
この方法も緩和による最適解との相対誤差を縮めようと思えば、SDP のサイズがどうしても巨大になるので広く普及するところまでは行っていない。今年はどうなるのかというところだが、疎性の利用も含めて理論的にはまだ出尽くしたわけではなさそうだ。前にも書いたように制御系や代数幾何などにも様々な応用がある。実際に解く方法についても様々な構想を持っているが、あとはモチベーションの問題である。つまり理論系や他分野の方からゴーサインが出ることが必要だ。