教育、啓蒙としての映画

邦画は基本的にまだ娯楽として作成されているのだろうが、ハリウッド映画は最近では鈍感な人でも気付くほど政治色、政治的なメッセージが強くなってきた。アメリカでは報道番組、新聞などを見ない国民も多いので映画を通じて国民に教育、啓蒙を行っているようである。この辺の話はhttp://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062568438/qid=1120763027/sr=8-2/ref=sr_8_xs_ap_i2_xgl14/250-9501250-0354653などの本に詳しい。
最近では、スターウォーズ EP3 などでは、銀河連邦が共和制を止めて帝国に移行していくのは、明らかに現在のブッシュ政権を暗示しているのだろうし、宇宙戦争は宇宙人の攻撃がイスラム過激派などのテロとイメージを重ねていることは明らかだ(9.11 テロが映画作成の大きな動機であることをスピルバーグも言っている)。だから前者は現政権に対する警告で、後者は擁護ということになるだろう。
あまり書くとネタバレになるのだが今回の映画宇宙戦争H.G.ウェルズの原作に割りと忠実であり、ラストもほぼ同じである。しかし何故地球外生命体(ETI)が襲ってくるのか理由は全くわからないが(侵略、移住、植民地化、復讐など)、ひたすら人類を殺して破壊しまくる。映画で語られるのはETIが人類に対して羨望のまなざしを持っていたということであり、これはアメリカ人のテロに対する考え方なのだろう。つまりテロリストがアメリカを狙うのは、アメリカが世界で最も豊かであり、それに対する羨望と嫉妬が原因とみなし、自分たちに原因があるという風には基本的には考えないわけである。9.11 テロにしても真相は大部後にならないとわからないだろう。
ところで今回の宇宙戦争でも出てくるのだが、個人的にはあのバリアという奴がきらいで納得がいかない。バリアがあっても地上を普通に歩けるし、内側からはビームを発射できるわけで、誰か理屈を説明できる人はいるのだろうか。しかしバリアが無ければ世界中の軍隊に袋叩きにされて瞬時に終わってしまうだろうが。やはり生命体の寿命と恒星間の距離、それに人類の現在の反撃力などを考慮すると地球侵略は無理なのではないだろうか。どうせ襲ってくるのならゴジラとかの方がまだ現実的で面白い。