歴史の本の読み直し

最近はアジア情勢が騒がしいので、昔読んだ児島襄著の”日中戦争”と”朝鮮戦争”を簡単に読み直してみた。支那事変直前の状況は、今と同じ”政冷経熱”だったことがわかる。上海あたりでは紡績業がさかんに行われており、お互いに大きな利益を出していた。日中双方とも本音では史実のような大戦争を全く望んでおらず、経済的には相互補完の関係にあった。にも関わらず全面戦争に突入したのが、日中の悲劇であり、その理由は一言、二言では語れないので、全5巻もの大作になっている。戦争になった後も早期に講和するチャンスもあり、南京陥落の直後に停戦、講和して、日中両国でアジアの安定のために協力していれば、その後の世界史は激変したと思う。朝鮮戦争もなかったろう。これも後知恵ではなく当時でも可能だったと思う。読み直してみて現在の日中問題の解決には、過去の日中間の歴史の徹底研究が必要だと思う。

ところで5巻には有名な北京原人の頭蓋骨の化石消失事件も扱っている(火事場の泥棒)。これをテーマにした伴野朗の”50万年の死角”(第22回江戸川乱歩賞受賞)なんかも面白い。